1、「人権尊重のまちづくり指針・素案」について二項目の質問をいたします。
人権が尊重される社会・すべての人が自分らしい生き方のできる社会を作るにはどうすればよいのでしょうか。答えは簡単には見つかりません。いろいろ人たちが、様々なところで、多くの取り組みを積み上げることが重要です。
佐倉市では、1997年から人権尊重・人権擁護都市宣言、人権施策推進指針、人権教育のための国連10年・佐倉市行動計画などを実施、市民に向けては「こうほう佐倉」の人権記事の連載、人権講座の開催などを行なっています。しかし、この10年間で、いじめ、児童虐待、高齢者虐待、ドメスティックバイオレンスの増加、そして、社会経済状況の変化による人権問題として、ワーキングプアー、不当な待遇での働く人々の問題、ネット上での人権侵害などが表面化し、新たな対応が求められています。そのような中、2004年から人権推進協議会で行政や職員が人権尊重を進めるための新しい指針づくりが始まり、2007年3月「人権尊重のまちづくり指針(素案)」が策定されました。
一項目、現指針である「人権施策推進指針」の総括について、二点質問いたします。
一点目、指針が策定されてから10年が経過していますが、この指針への具体的な取り組みは各課横断的に行う必要があります。どのような取り組みを行い、進捗状況などの検証をしたのでしょうか。
二点目、人権推進協議会では、「人権問題に関する市民意識調査報告書」に基づいた人権問題の分析と検討がされていました。新しい指針を策定するためには現指針の総括が前提になると考えますが、現指針の共通事項の1.人権意識の高揚と啓発、2.人権重視の行政、3.相談・協力・連携体制、個別事項の子ども、高齢者、障害者、女性・男性、外国人市民、同和地区住民についての総括をしたのでしょうか、お伺いします。
二項目、「人権尊重のまちづくり指針(素案)」への市民意見の反映方法と進め方について二点お伺いします。
一点目、今年1月に素案に対してパブリックコメントを求めましたが、どのような意見があったのでしょうか。また、意見の検討は公開の人権推進協議会で行うべきと考えますが、ご見解をお聞きします。
二点目、新しい指針は、抽象的な表現で貫かれています。たとえば、佐倉市の取り組みの基本姿勢として1「すべての人」が対象、2「はじめから」の発想、3「終わりない」取り組みという現し方で具体的な項目はありません。また、<方向性>では、市民協働による推進を掲げていますが、協働の定義も定まっているとは言えず取り上げることに疑問を感じます。佐倉市及び市職員が果たすべき役割を示すためとしていますが、行政の具体的な取り組みや施策がまったく見えません。人権の課題への各課横断的な対応や当事者の意見を反映した施策の展開が必要ですが、これからの取り組みの方法をお伺いします。
2、市民協働の現状と問題について4項目の質問をします。
昨年の1月に市民協働条例が施行されました。その後、市の施策や計画などあらゆる場面で市民協働が使われています。その市民協働の前提には市民参加と情報の共有が十分保証されることが不可欠です。市民ネットワークは、条例を検討している段階から、市民が政策提案できるような規定など市民が主体的に市政に参加する権利を保障すべきであり、市民参加を条例にしっかり位置づけるようにと発言し続けました。しかし、「協働には参加が含まれる」として条例の中で市民の参加する権利を独立した条文に入れていません。また、条例により「市民協働による自治運営の推進の審議をする」として設置された市民協働推進委員会は、市民協働事業の部分のみの話し合いに終始しており、情報共有や市民参加の方法として唯一定めた政策形成過程参加手続についての検証はいまだに行われていません。
一項目、職員の市民参加への意識度について二点質問します。
一点目、現在、市のホームページに公表されている委員会(審議会等)は、附属機関41、付属機関に類するもの28あり、これらは「審議会等の会議の公開に関する要綱」が適用されます。運用の状況と問題点をお聞きします。
- 会議の開催日程は、要綱で最低1週間前までに公表するとしています。委員会の開かれたときに次回の日程を決めることがあっても、1週間前に公表している委員会があります。また、公表を忘れた委員会も見受けられます。要綱の1週間は市民への周知の最低期間を保証するものですが、委員会等を担当する職員の市民参加に対する消極性が感じられます。このような現状に対する見解および実際の状況をお聞きします。
- 会議の公開は原則であり、会議の非公開の決定は慎重に行うべきですが、委員会としての審議が尽くされているのでしょうか、また、非公開の会議の会議録の取り扱いにも全部非公開と一部非公開にするなど委員会によって運用にかなり違いがあります。公開の原則が後退しているのではないかと考えますが、ご見解をお聞きします。
- 会議資料の傍聴者への配布は進んでいますが、会議の終了のときに回収をする委員会があります。政策形成過程を傍聴者とも共有しようという姿勢がうかがえません。積極的な市民参加に対する担当課の意識や姿勢を求めます。各委員会の実態はどのようになっていますか。
二点目、委員会のあり方について「付属機関等の設置及び運営に関する要綱」があります。趣旨として付属機関及び懇話会等の機能の充実と市政への市民参画を推進するために定めるとなっています。要綱に規定していることと現状の問題点を質問します。
- 委員の兼任は原則3つまでですが、特別の理由がある場合は例外も認めるとしています。公募の委員は原則が守られていますが、その他の委員の3つ以上の兼任の状況はどのようになっているのでしょうか。
- 懇話会等は設置期限を設けることとなっていますが、十分な審議期間を設定することが必要です。たとえば、地球温暖化対策地域推進計画検討懇話会は半年の設定で、開催はたった3回のしかありませんでした。スケジュールが先行した結果、素案に対する審議時間が少なく、公表する前に素案を確認したいと申し出た委員に対しパブリックコメントとして意見を提出するようにと要請されました。かなり極端な事例ですが、このような事例は他にないのでしょうか。
- 懇話会等とは、市民の意見を聴取し、市行政に反映させることを目的とし、「審議する・答申する」などを付与しないとしています。しかし、地域福祉計画策定懇話会、西部自然公園整備検討会など市の施策や計画を検討していく場合、このような画一的な位置づけには問題があると考えます。ご見解をお聞きします。
二項目、市民意見公募手続き、パブリックコメントの運用方法についてです。
12月議会で地域福祉計画・素案の一般質問の中で、パブリックコメントに対してどのような意見が出されたのかと質問しましたが、計画の決定と同時に公表すると「市民協働推進に関する条例施行規則」に定めているので答えられない。また、素案の策定までが懇話会の役割と要綱に規定しているので、意見の検討は懇話会で行わないとの説明でした。しかし、規則で定めているのは、パブリックコメントをとるための、案の公表、意見の提出方法、結果の公表、提出意見に対する考え方という一連の枠組みが示されているだけです。提出された意見を結果の公表前に発表することを禁じていません。また、意見の検討方法は、それぞれの担当課の運用に任されています。市政への市民参加の手法として有効に運用されることが求められます。以下3点の質問をします。
一点目、2007年にパブリックコメントを求めたのは、何件ですか。
二点目、地域福祉計画のような、施策・計画等の決定と同時でなければ、提出意見の公表はできないとする大きな勘違いをした事例はこれまでにあるのでしょうか。具体的にお答えください。
三点目、委員会などの要綱に施策や計画素案の策定までを役割と定めているため、その後に行うパブリックコメントに提出された意見を庁内の検討だけで決定することがかなり多く行われています。委員会にその意見を戻し検討することで行政の透明性と市民参加を高めることになると考えます。積極的な運用を求めますが、これからのパブリックコメントの運用のあり方について見解をお聞きします。
三項目として、市民協働事業の市民提案型と行政提案型についてお伺いします。
協働条例に位置づけられている市民協働事業は市民からの提案を受けて行う事業と行政からの提案をする事業の2種類があります。今年度は市民提案型が実施されましたが、事業者の選考過程、応募団体のプレゼンテーション、会議録などすべて非公開とした推進委員会で協議され、決定した団体だけを公表しました。市民協働とはまったく相反する選考過程ではないでしょうか。来年度からは行政提案型も平行して行われる予定とのことですが、協働事業のあり方について三点質問をいたします。
一点目、市民提案型の選考過程や会議録をすべて非公開とした理由は何でしょうか。
二点目、市民提案型の今年度の事業評価及び、来年度の選考過程は公開としていくのでしょうか。
三点目、行政提案型をモデル事業として行うとしていますが、どのような事業を想定しているのでしょうか。また、市民協働事業の行政提案型は自発的な市民提案型に一本化すべきと考えますが、ご見解をお伺いします。
最後に、4項目目の地域まちづくり協議会のあり方についてです。
地域の各種組織の意向を確認した上で設立する自主的な住民自治組織で地域コミュニティの活性化を推進することしています。モデル地区として臼井ふるさとづくり協議会が活動を始めてから1年が経過しました。現状について二点質問いたします。
一点目、どのような団体で構成されているのでしょうか。
二点目、地域まちづくり事業が行われていますが、ふるさとづくり協議会の総会資料には事業の決算報告が公開されています。一方、推進委員会では地域まちづくり事業についての協議を非公開としており、市民で構成される団体は開かれた運営を行っているにもかかわらず、行政の対応はそれに比べ後退しています。今後も白銀地区、王子台地区での立ち上げが検討されていますが、市の予算で運営される事業は、透明性の確保がなにより必要です。ご見解をお聞きします。
3、高齢者保健・福祉・介護計画について二項目の質問をいたします。
はじめに、地域包括支援センターの民間委託についてです。
地域包括支援センターは、高齢者の心身の健康維持や生活の安定、保健・福祉・医療の向上、財産管理、虐待防止など様々な課題に対して、保健師、社会福祉士、主任ケアマネジャーの3専門職を配置し、地域における総合的なマネジメントを担っています。高齢になっても住み慣れた地域で尊厳あるその人らしい生活を続けられるよう課題解決に向けた取り組みを実践し、適切なサービスが切れ目なく提供されることを目的に設置されています。
佐倉市も福祉部高齢者福祉課に直営方式で設置して約2年です。市内を五つの生活圏域として、それぞれの圏域を担当する3専門職を置き、職員13人、臨時職員12人の体制で対応しています。08年1月の運営状況は、要支援1、2の認定を受けた方は1274人、予防給付ケアプランの作成数は直営345件、委託369件合計714件、利用率56%で、およそ認定を受けた半分の方が利用しています。また、2006年4月〜2008年1月までの相談実績は3900件、虐待への対応状況は44件となり、開始時に比べ利用者が増加しています。現在、直営1ヶ所ですが、市民がより身近な地域で利用できるようにと、民間委託によって5圏域に一箇所ずつ設置する方向で検討が進められています。ここで、検討の経過とその問題について4点質問します。
一点目、地域包括支援センターを直営で行う理由として@予防が必要な方を対象として、改善後にも介護保険以外の介護予防事業など地域サービスを利用するため、市職員であれば全体を見渡すことが可能な立場にある。A介護予防事業、任意事業と一体的、一元的に展開できると2005年12月に市長が答弁していました。また、包括支援センター運営協議会では次のような説明がされました。直営のメッリットとして公正・中立な立場での支援、統一的な管理、様々なニーズを抱えた高齢者に適切に対応できるワンストップサービスの提供ができること。デメッリットは人件費等の運営コストが高い、人事異動などで継続性に問題があること。一方、民間委託のメッリットは人件費や運営コストの抑制、民間の活力を活かした行政運営ができる事。デメッリットは委託先が介護に関連する多くの事業を運営しているので公正・中立性の保持、質の均一性の維持、制度改正のリスクが高いので長期契約は難しいこと、人事権がないことです。結論として、市の行財政運営方針で職員の定数削減が決まっているので、直営では、高齢者の増加に応じて専門職等の職員を増員することが困難であるが、民間では、経営との兼ね合いもあるけれど、機動的に専門職の確保ができる。ただし、委託しても丸投げは許されないとの方向で進んでいます。しかし、経費削減が先行した民間委託で、これまで直営で行われてきた特性としての中立・公平性や統一的な管理、事業の一体的な展開などどのように担保されるのでしょうか。地域包括支援センター運営協議会の具体的な関与についてもあわせてお伺いします。
二点目、民間委託になった場合、市は5生活圏域の地域包括支援センターの統括・支援、成年後見制度利用支援、高齢者虐待防止、給付適正化などを行うとしていますが、困難事例への対処、任意事業、介護予防の普及などに関し地域包括支援センターとどのように連携していくのでしょうか。その担当部署について人員・専門職名も含め具体的にお答えください。
三点目、民間委託の条件について運営協議会に提案された内容について質問します。
- 公募によって選考するとしていますが、公募の選考過程を公開とし、結果や選定基準等を市の広報やホームページ等で公開しますか。公募の方法についてお伺いします。
- 委託法人が介護関連の業務を運営していることが多いので、中立・公正の確保として事務所を単独で利便性のよい所に設置するとしています。それは大変重要なことと考えます。しかし、委託法人が利便性のある場所に事務所を単独で設置することは、費用の点から考えて難しい場合、市所有の施設の一部を無償で貸すことは考えられないでしょうか。
- 人員の配置と委託料はどのようになるのでしょうか。
四点目、生活圏域ごとにできる地域包括支援センターで、地域の介護保険サービスなどを利用していない人、特定高齢者、準特定高齢者等を対象とした訪問などの地域に根ざした支援体制作りが可能になると考えます。それには特定高齢者等の把握をすることが重要です。現在、市では@認定審査情報(非該当者)A高齢者実態把握調査結果B健診結果等で行っています。民間委託後も市で把握を行うと思いますが、酒々井町では、より正確な情報を地域包括支援センターに提供するため、80歳以上の高齢者を年二回訪問して介護予防につなげています。佐倉市でも地域包括支援センターと連携をして、介護予防に取り組むためにも、是非、市による訪問を実現していただきたいのですが、如何でしょうか。(出来ない場合その具体的な理由をお示し下さい。)
二項目、第4期高齢者保健・福祉・介護計画について質問いたします。
高齢者のための総合的な計画である高齢者保健・福祉・介護計画の第三期の計画期間は2006年度から2008年度までとなっています。その後の第四期の計画開始まで1年余りです。第三期の計画は一年半以上前から利用者へのアンケート調査や計画推進委員会と専門部会でサービスの種類や利用見込み量などを検討し、策定されています。以下第四期の計画策定方法と課題について二点お伺いします。
一点目、第四期策定に向けての国・県の方針がいまだ明らかになっていないとのことですが、第三期の進捗状況などの総括を進め、市としての方針や課題を検討する時期であると考えます。今後、策定に取り組んでいく時期及び具体的な方法等をお聞きします。
二点目、第四期策定の課題として以下の質問をします。
1、第三期計画での地域密着型サービス等の整備はグループホーム以外は計画通りに進んでいません。第四期計画を実現可能なものにするために、早急に各種介護保険施設等の整備に向け、事業者の参入状況を見込むヒアリング等を持ち、必要量の確保に努めるべきと考えますが、現在の状況についてお伺いします。
2、介護サービス給付が抑制されるなか、同居家族がいる場合、家事援助が受けられなくなったという声を良く聞きます。昨年12月に厚労省からの事務連絡もありましたが、一律に同居家族の家事援助を不可とせず個々の事情を勘案したケアプランを作成するよう指導すべきと考えます。第4期策定に際しては、サービス量の計画にこの事を考慮して欲しいと思いますが、ご見解をお聞きします。
3、介護療養病床の廃止、医療療養病床の削減が行われています。佐倉市唯一の介護療養病床(厚生園五十床)の今後の進め方と廃止や転換により退院を迫られた場合の高齢者の処遇についてもお伺いします。
以上で一回目の質問を終わります。答弁もれがありませんように、よろしくお願いいたします。
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