「全国学力・学習状況調査」の中止を求める意見書

 


 今年4月24日、全国の小学6年生と中学3年生約240万人を対象とする「全国学力・学習状況調査」が一斉に実施されました。ベネッセコーポレーションとNTTデータに委託されることが明らかとなり、委託費用として67億円もの税金が投入されることや民間企業への個人情報の流出も大きな問題になりました。全国からの批判や疑問の声を受け、文部科学省は個人情報保護の観点から改善策を取りましたが、本質的な問題点は依然として残されたままです。
 この全国一斉学力テストに対し、公立学校で唯一不参加を表明し問題提起をしたのが、愛知県犬山市教育委員会です。犬山市では人格の形成と確かな学力保障を柱に10年前から独自の教育改革に取り組み、習熟度別ではない少人数指導や少人数学級など子どもたちの学びあいを大切にする学校教育を進めてきました。これら教育現場での実践をもとに全国一斉学力テストに対し鋭い批判をしています。全国一斉学力テストは文部科学省が決めたルールで子どもや教師、学校、地域を競争させ、国が定める基準で評価し、学校の教育活動や地方の教育施策に縛りをかけようとする制度であるとしています。
 10月24日、文部科学省は調査結果を公表し、都道府県教育委員会に対して、域内の各教育委員会や学校等に調査結果の適切な活用について指導・助言及び周知を行うよう通知しました。自治体に参加不参加の自由があるたんなる行政調査でしかない学力テストに対し、調査結果の分析や検証、改善に向けた取り組みを求めるという地方自治に対しても学校教育に対しても越権行為とも言える通知文書です。また、児童生徒への指導改善という点から見ても半年以上も前に受けたテストの検証が現時点でどの程度の意味を持つのか大変疑問です。子どもの学力実態の把握は、抽出調査を行えばすむことであり、この調査の目的は学校間の競争激化と序列化を進めるだけであることは明らかです。教育活動の一部分に過ぎない教科の点数だけで学校や子どもたちのランク付けをすべきではありません。教育本来の目的である平和で民主的な社会を形成する人格の形成が教育活動から切り捨てられてしまいます。
 教育再生会議でもこのテストによって学校現場に競争原理を積極的に導入する方針を打ち出し、テスト結果の公表、学区の自由化、学校選択制、バウチャー制度の流れをつくろうとしています。今以上に教育の格差は拡大し、固定化していきます。
  国の責務は子どもたちが安心して学べる教育の条件整備に努めることです。
教育の内容に立ち入り、公教育全体に大きな弊害をもたらす「全国学力・学習状況調査」の実施を速やかに中止するよう強く求めます。
 以上、地方自治法第99条に基づき、意見書を提出します。


2007年12月21日                   佐倉市議会
衆議院議長、参議院議長
内閣総理大臣、文部科学大臣 宛


以上


top
戻る