介護保険制度の抜本的な再構築を求める意見書

 

介護保険制度の抜本的な再構築を求める意見書

 5月26日、介護保険法と関連法の改正案が参院で可決、成立した。そもそも論点の異なる31もの法律改正案を一括審議し、衆院厚労委員会では突然の強行採決となったことなど、十分な審議がなされたとは言えない。
 今回の改正の骨子の一つは、「現役並みの所得者」とされる、単身世帯で344万円以上、2人以上世帯463万円以上の世帯の介護保険料自己負担割合の3割への引き上げである。すでに2014年の改正において「一定以上の所得者」の自己負担率を2割に引き上げている。しかし、その影響についての実態調査は一切行われておらず、今回の審議に反映されてはいない。今回の改正では、影響を受けるのは12万人程度とされているが、前回の改正時の所得線引きの妥当性の検証もされずに、一方的に負担割合を引き上げることは、将来的に次々と高負担の対象を拡大させていくのではないかという懸念がある。
 もう一つの骨子は「保険者機能の強化」「自立支援」の名目で、要支援・要介護認定率の引き下げ、すなわち介護給付費抑制を基礎自治体に強制することである。2014年改正における「要支援1・2」の介護保険一部適用除外など、介護保険制度において近年顕著な「軽度者」の切り捨てがさらに加速されることになる。
 介護保険制度施行から17年が過ぎ、超高齢社会の急速な進展の中、利用料の自己負担と保険料そのものの上昇が続いている。財源確保として、今回の改正では「総報酬制」導入により比較的給与の多い大企業の保険料を引き上げることも決まった。影響を受けるのは1,300万人とされている。
 改正は常に「制度の持続可能性」の名目で行われるが、当事者の生命と暮らしを脅かすものとなっていること、また財源確保の面からもその場凌ぎのものにすぎないことを厳しく指摘する。
 「介護保険」の本来の趣旨は、高齢者が、地域あるいは住み慣れた家で、尊厳の保障のもと生活していけるよう社会全体で支援することである。介護サービスを一方的に切り捨てていく方向の「改正」ではなく、本来の趣旨を実現するために、財源確保を筆頭に抜本的な制度設計の再構築を国に求めるものである。

以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

平成29年6月26日

佐倉市議会

内閣総理大臣
厚生労働大臣
衆議院議長    宛
参議院議長

top
戻る