佐倉市自治基本条例(素案)についてのパブリックコメント

 

さくら・市民ネットワークの提案
 市民がまちの将来に関与するか否かで地域が良くなるかどうかが決まります。情報公開、情報共有、市民参加を推進することがこれからの地方自治体には必要不可欠だからこそ、自治基本条例は多くの自治体で制定されています。本来、自治の主体は市民であり、行政は市民ができない部分を代行しているにすぎません。
 だからこそ、制定の目的が市長マニフェストの100%達成を宣言するための自治基本条例であってはならないし、市民を縛るための条例であってはなりません。
 たった半年間の自治基本例策定市民懇談会での検討期間では、市民への周知も不十分であり、どれだけこの条例に関して理解されたか、また、市長をはじめ執行部、職員間でどれだけ自治基本条例についての基本的な考え方が議論されてきたのか疑問です。
 短期間とはいえ懇談会で話し合われ、24名の通信委員、市民会議で出された意見をまとめた答申はどのように反映されたのか、条例素案からは片鱗もうかがえないことは大変問題です。
 自治基本条例は「自治体の憲法である」と説明されますが、憲法は国民の基本的人権を保障し、国の権力の行使に枠を定める最高法規です。自治体の憲法もしかり、市民の権利を守り、行政の情報公開を進め、首長・議会が市民主体の行政を行うための枠を定める役割があるという事です。
 佐倉市の今回の自治基本条例素案について、1つ明確なことは、策定の目的が「市民自治」ではなく「市民協働によるまちづくり」であることです。条文に「市民の権利」が抜け落ちていることからも推測できます。

以下、条文ごとに提案します。

前文について 
→目的、理念をはっきりと書き込むべきである。市民の参加のもとに作られていないため、行政用語が多く、訴えかけてくるものが何も無い。書き直しすべきである。

第1章 総則の(目的)第1条について
→目的にきちんと「市民の権利」「子どもの権利」を盛り込むべきである。
答申にも市民の権利について「市民自治の原則」「市民は、自治体の主権者として、市民自治の権利を有している」とある。

→最高規範となるべき条例であるにもかかわらず、「基本的理念」とすべきところが「基本的事項」という矮小化した表現を行っている。


(条例の位置付け)第2条について
→最高規範性をはっきりと謳うべきである。

(定義)第3条 について
(1)市民の定義について
→解説には「市が行う個別具体的な施策において対象とされる「市民」の範囲は、その施策の目的や達成すべき目標に応じて定められることになる」とあるが、対象を故意に狭める必要はないと考える。

(2)市の定義について
→議会はチェック機関なので、市には入れない。

(まちづくりの基本理念)第4条について
→本条例素案のような、まちづくりを市民へ責任を負わせる「ねばならない」表現は相応しくない。むしろ前文に盛り込むべき内容である。
 
(基本原則)第5条について
(1)市民は自らがまちづくりの主体として、地域における自治の充実と市民福祉の増進に努めるものとする。
解説 市民一人ひとりがみずからのこととして責任を持ち、主体的に市政に参加する「市民自治の原則」です。
→とあるが、そもそも基本原則は市のあるべき姿を表現すべきである。
答申「自治の原則」にあるとおり「市長及び議会は、市民の負託者として与えられている責務を果たすとともに、市民参加と自治内分権に立脚しながら、市民主体の市政運営を行わなければならない」がふさわしい。

第2章 基本環境 第1節 情報の提供及び個人情報の保護
→「情報の提供」ではなく「情報の共有」である。基本的な考え方に情報共有が抜け落ちている。

(市政情報の提供)第6条について
(1)市は、市政について市民に説明する責任を果たすよう努めなければならない
→ 非常に後退した表現である。
→「情報の共有」「情報の提供」を個々に定めることが望ましい。(参考例 三郷市 29条、30条)
(情報の共有)
(1)議会および執行機関は、参加と協働のまちづくりを推進するため、市政に関する情報が市民等との共有財産であることを認識し、適切な情報の提供および情報公開を推進するものとする。
(2)市民等、議会および執行機関は、まちづくりに関する情報をお互いに共有するよう努めるものとする。
(情報の提供)
(1)議会および執行機関は、広聴および広報の充実を図ることにより、市長等が必要とする情報を把握するとともに、当該情報を積極的かつ効果的に提供するよう努めるものとする。
(2)議会および執行機関は、情報の提供に当たっては、広報、ホームページ等を積極的に活用し、市政情報を分かりやすく、かつ、入手しやすい複数の方法で市民等に提供するものとする。

(市民参加の原則)第8条について
(1)市民はまちづくりの主体として、市民参加を行うことができる
→答申どおり「市政への市民参加の権利」にあるとおり「全ての市民は、自治体の主権者として市政に参加する権利を有する」とすべきである。

→また、(参加する権利の保障)も取り入れるべきである(例 三郷市)

(市政への市民参加)第9条について
(1)市民は、国籍、性別、年齢、その他社会的又は経済的環境にかかわらず、市政に参加することができる
→「市政に参加する権利を有する」とすべきである。

大和市、ニセコ町の条例にあるとおり子どもの市政への参加もきちんと謳うべきである。
「(子どもの意見表明の機会の保障)市は、子どもが自己に関係のある事柄について、意見を表明できる機会を積極的に設けるよう努めなければならない」(大和市 12条)(ニセコ町 11条)

(2)市民は市政へ参加できないことを理由として不利益を受けない。
→「参加しない」とするべきである。

(住民投票)第11条について
→現在でも住民投票はできないことはなく、その結果に法的拘束力がないのである。どのようにその結果を尊重するかについての条文が必要である。
→また、解説に「それぞれの事案に応じて、どのようなことについて住民投票を行い、どのような手続きで進めるか条例でそのつど定める」とあり、常設型の住民投票でない。
我孫子市市民投票条例のように常設型市民投票を目指すことも検討すべきである。

→住民投票にむけての情報提供もきちんと盛り込むべきである。(例 三郷市)

(市民参加推進委員会)第12条について
→市民参加については、実行、推進するための方法論を検討、提案し、条例にきちんと盛り込むべきである。
市長に提言する第三者委員会を設置することは、市としての責任所在が明確でなく、隠れ蓑となる。今回の自治基本条例策定市民懇談会しかり、半年間先送りにした挙句、その答申さえも無視をする現状では、市民参加推進委員会は必要ないばかりか、行政の透明化には有害である。

(地域コミュニティへの市民参加)第13条について
→答申案を参考に、「すべての市民は地域コミュニティに参加する権利を有する。」とすべきである。

(財政運営)第16条について
(1)市は、徹底した経費削減及び行財政改革に取組むとともに、効率的かつ重点的に施策を展開することにより、健全で持続可能な財政運営に努めなければならない。
→答申どおり「市は、財政状況を総合的に把握し、適切な分析を行うことを通じて、明確な方針のもと、最小の経費で最大の市民福祉が実現される健全な財政運営を行う」とすべきである。

(2)市は、行政サービスを受ける市民の負担の適正化及び社会資本整備における世代間の負担の公平化に留意し、自立的な財政基盤の強化に努めなければならない。
→応益負担を前面に打ち出して、市民の負担増を条例に入れ込んでいることは、問題であり削除すべきである。

(政策評価)第17条について
→答申どおり「政策評価市民委員会設置」を盛り込むべきである。

(出資団体等)第21条について
→厳正な評価を行うための「市民が入った第三者機関を設置して評価すること」を盛り込むべきである。

第3節地域自治について
→節の表題を「地域自治」ではなく、「地域コミュニティ」とすべきである。

(地域自治に関する取組)第23条について
市民は、自ら身近な地域の課題を解決するため、地域自治に関する取り組みの推進に努めるものとする。
→全文削除。情報公開、市民参加を進める施策を市が行うことこそが重要で、「市民は、自ら〜地域自治に関する取り組みの推進に努めるものとする」などと条例で定めるべきものではない。

第24条一項について
地域コミュニティは、地域自治の充実及び市民福祉の増進のために活動するものとする。
→地域コミュニティは、自治の担い手であることを認識し、互いに協力しあう。

第4章 市民協働の推進 第25条
→全文削除。市民と市との協働についてだが、協働条例の抜本的な見直しが必要である。大和市自治基本条例4条、5条を参考として、市民参加をきちんと条例に書き込むべきである。
参考例 大和市
第4条 市民、市議会及び執行機関は、自治を推進するため、それぞれの責務に基づいて参加し、協働することを原則とする。
第5条 市民、市議会及び執行機関は、情報を共有することを原則とする。

第5章 広域連携の推進
(国際交流の推進等)第27条について
(1)市民及び市は、公共的な課題の解決のために、国際交流を推進し、国外の地方公共団体等との連携に努めなければならない。
解説に「平和、人権、環境などの地球規模の取り組みに努めることを定めている」とあるが
→条文に「国際的な連携協力を促進し、国際社会の一員として平和、人権、環境の課題解決のための必要な取組みを行うものとする」としたほうがより具体的で分かりやすい。
→またなぜこの条文だけ「努めなければならない」という強制的な表現を行っているのか。ただ単に「オランダツアー」のような海外交流を頻繁に行うわけではないと解釈するが、第26条は「努めるものとする」という表現であるため、違和感がある。

第2節 責任及び責務(市民の責任)第32条について
→先にも述べたとおり、「市民の権利」が条文に謳われていないにもかかわらず、責任だけを押し付けないように願いたい。

 以上、自治基本条例の制定に向け、半年以上の時間をかけてきましたが、残念ながらまだまだ佐倉市では市民も行政も自治基本条例が何たるか、必要性も制定する意義も理解されていないように思われます。また、実効性を伴わせるにはどうしたらよいかが制定後の共通した課題と聞きます。
 価値のある自治基本条例とするために、次期総合計画に自治基本条例策定を盛り込み、市民、行政、議員がともに丁寧に作り上げていくことを提案します。


2010年11月16日
さくら・市民ネットワーク
共同代表 服部かをる
道端 園枝

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