2019年11月定例会 意見書

介護保険法改正にあたって利用者・家族の負担増を極力避けることを求める意
見書(案)

 来年度の通常国会に提出される「介護保険法改正案」の素案作りが進んでいる。報道によると、議論の場である社会保障審議会介護保険部会では「利用者・家族の負担増はやむなし」との方向で進んでいるとのことである。
 厚労省が同部会に提示した8つの「負担増」案のうち、今回は見送られたものもあるが、介護施設の食費・居住費に対する「補足給付(特定入所者介護サービス費)」の見直しは確実視されている。
 本給付は、利用者負担第3段階までの利用者が対象となるが、2015年8月以降導入された「預貯金等1000万円超(夫婦世帯で2000万円超)」を対象外とする規定を、資産要件を大きく引き下げる方向とされる。報道されている「600万円超」で試算すると、現在100万人いる受給者の」約1割が補助打ち切りとなる。
 高齢者の預貯金は、撤回された金融審議会の報告書に示されたように、生活防衛のための命綱である。もともと「補足給付」の受給者は市町村民税非課税の年金所得の低い方々であることも鑑みるならば、今回の見直しは利用者とその家族の生活にとってきわめて大きな影響を与える。
 一方、現在の負担上限額月額4万4400円の引き上げも議論の俎上に上っている。厚労省の「制度の存続」という目的は高齢社会の進展の中で十分首肯できるとはいえ、その目的のために利用者・家族の生活を破綻させるのでは、社会保障の本来の役割を見失っていると言わざるを得ない。
 政府厚労省においては、介護保険制度の本旨に則り、利用者・家族の負担増を極力避ける方向での制度改革の議論を強く求めるものである。

以上地方自治法第99条に基づいて提出する。

内閣総理大臣
厚生労働大臣 あて

 2019年12月 日
                      議会議長


激甚化する災害に対応できる河川整備とともに、ソフト面での総合的対策を早急に進めることを求める意見書

 現在国内で進められている河川改修工事は、時間雨量最大50㎜を想定している。しかし、近年気候変動により海水温度が上昇し、台風や豪雨が大型化しており、時間雨量50㎜を軽々と超えるケースが頻発している。
 10月12日、台風19号は関東から東北にかけて記録的な大雨を降らせ、千曲川をはじめ、堤防決壊は7つの県で71河川140か所に及び、死者・行方不明者は100人を超えた。箱根町では時間雨量1,000㎜という観測史上最大の雨量を記録した。続く10月25日豪雨では、千葉県や福島県で甚大な浸水被害が起き、死者13人を出した。時間雨量は各地で50㎜を越え、千葉市や八街市では100㎜を記録した。このように、現状の河川改修計画では、ますます大型化するであろう災害には太刀打ちできないことは明らかである。
 そこで、以下の対策を早急に進めることを強く求める。
 堤防強化対策として、「耐越水堤防工法」を導入すること。これは、天端、裏のり面、のり尻の3点をブロックや遮水シートで補強する工法で、費用もスーパー堤防の100分の1で済み、費用対効果に優れている
  滋賀県の「流域治水条例」は、河川改修工事だけでは限界があるとして、さまざまな対策を取っている。その中で、以下の対策を国として進めるよう求める。
 どのような浸水被害にも対応できるよう、洪水ハザードマップと、内水ハザードマップを合体させたマップを市町村に作成するよう指導する。
 時間雨量50㎜のときに床上浸水が想定される場所には、新規に一階建ての家屋や、福祉施設、学校等を建てないという立地規制を普及させる。
 宅地建物取引業者に、宅地・建物の売買等の取引の際に、水害リスク情報を明示した「重要事項説明」を努力義務にする。
 以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

2019年12月20日
千葉県議会
  
内閣総理大臣
国土交通大臣   あて


安易な種苗法改正の撤回を求める意見書(案)

 11月15日、農水省の有識者検討会は、来年の通常国会に提出する「種苗法改正案」の土台となる「新品種保護に関する対策」をとりまとめた。
 これは「優良品種の海外流出防止」を名目としつつ、内実は農家の自家採種・自家増殖を原則禁止とするものである。これまで認められてきた「登録品種」の自家増殖を「許諾制」とし、悪質な違反には10年以下の懲役または1000万円以下の罰金を科す刑事罰の対象とする。しかも「共謀罪」も適用されることとなる。
 これまで自由に行うことができた登録品種の自家増殖が「許諾制」になれば、当然新たな料金が発生することになり、許諾手続きも煩雑になる。また、作付のたびに新たに種子を購入しなければならず、これまでも高齢化や零細経営に苦しめられてきた個人農家は離農するしかなくなる。これにより、耕作放棄地の増加とともに「農業競争力強化支援法」が推進する農業への民間参入がより一層進み、地元農業に支えられた地域活性化とは真逆の道を歩むことになる。
 昨年の「種子法」廃止に続く「種苗法」改正で、地域の農業を支えてきた優秀で安価に提供される品種が減り、大手種苗会社とグローバルアグリビジネスによる品種が席巻するならば、地域の食生活・食文化の衰退、ひいては地域社会そのものと日本の食文化そのものも衰えてしまいかねない。
 「食」は人間の生活の根幹であり、また共有の権利でもある。「育成者権」のみを優遇し、農業者の権利と消費者の選ぶ権利、誰もが持つ生きる権利を制限することがあってはならない。
 「優良品種の海外流出防止」であるならば、現行法で刑事告訴するなり、海外での育種登録・商標登録をすれば済むことであると、複数の識者が指摘しているところである。
 政府農水省においては、地域農業活性化という基本に立ち返り、安易な「種苗法」改正を強行することのないよう、改正案の撤回を強く求めるものである。

 以上地方自治法第99条に基づいて提出する。

内閣総理大臣
農林水産大臣 あて

2019年12月 日
議会議長


陸自導入のオスプレイの木更津基地への「暫定配備」に関して徹底的な情報の開示を求め、配備計画の即時凍結を求める意見書(案)

 陸上自衛隊が導入するティルト・ローター機「MV-22 オスプレイ」17機すべてを陸自木更津基地に「暫定配備」する件について、千葉県と木更津市はそれぞれ防衛省に対して「照会」を行い、10月31日に回答を得たところである。
 当「回答」において第一に問題とすべきは、木更津市に対する「回答」において、「オートローテーション機能」の保持が明記されていることである(同「回答」8頁)。
 当該機製造元のベル・ボーイング社は、「V22オスプレイ・ガイドブック2011~12年版」で、「オスプレイはオートローテーションに頼らない」「(両方のエンジンが停止した場合には)固定翼モードで滑空できる」と明記している。さらに、この「ガイドブック」に先立つ2009年6月23日、米国防分析研究所(IDA)でオスプレイの主任分析官を務めていたレックス・リボロ氏は、米下院公聴会において、「V22は安全にオートローテーションができず、このことは製造者や海兵隊も認めてきた」と証言しているのである。付け加えれば、2012年の普天間基地への海兵隊オスプレイ配備に際し開催された日米合同委員会(2012年9月19日)議事録には、「オートローテーションが必要となる極めて想定し難い事態において,パイロットは飛行場内に安全に帰還するためのあらゆる措置をとる」とあり「オートローテーション」には頼らない旨が米側から指摘されている。
これらの事実は、本「回答」や、また2012年の普天間基地への海兵隊オスプレイ配備に際し防衛省が発行したパンフレットの記述と完全に矛盾するものである。
これのみではなく本「回答」には疑義を呈せざるを得ない箇所が多数ある。これでは木更津基地へのオスプレイ暫定配備を千葉県民として容認できるものではない。
政府・防衛省においては、オスプレイの運用に関する正確な情報開示を徹底し、木更津市のみならず全県的な住民に説明すべきである。今回の拙速きわまりない木更津基地への「暫定配備要請」の即時撤回を強く求めるものである。
以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。
  
2019年 月 日
内閣総理大臣
防衛大臣
外務大臣
 あて

議会議長