コロナ禍による生活困窮者の住宅支援策の充実を求める意見書

新型コロナウイルス感染拡大による学校の一斉休校や営業自粛等の影響は、緊急事態宣言解除後も多分野に及び、収入減や失業・倒産が増え続けている。リーマンショック以上の景気の悪化が懸念され、野村総合研究所の調査では、失業率は戦後最悪の6.1%~6.9%に達する見込みとされている。多くの人びとが経済的に困窮し、職や住まいを失う危機にある。

 これと連動し、「特定警戒13都道府県」の主な自治体で、4月の生活保護申請件数が前年と比べて約3割増えたことが、朝日新聞の調査で分かった。今後、さらに生活困窮が深刻になり、申請件数は増大する一途と思われる。

 生活保護申請では、住居を持たない申請者に対し、「住所がなければ受け付けられない」として、ほとんどの福祉事務所がまず無料低額宿泊所を紹介している。しかし、生活保護法19条では「居住地のない要保護者であっても、申請した福祉事務所が保護を決定し、実施しなければならない」とされ、また、2009年3月18日の厚労省通知では「住居が確保されていないことを理由として保護申請を却下することはできない」と明記されている。 

さらに、無料低額宿泊所の大半は貧困ビジネスと呼ばれ、入所者の生活保護費の8割前後を徴収し、入所者の手元には2~3万円しか残らない仕組みとなっている。通常、風呂やトイレは共同で相部屋のところも多く、個室であっても薄い間仕切りだけという劣悪な住居環境が多い。本来一時的な居住の場とされているにもかかわらず、5年~10年も入所しているケースもあり、自立した社会復帰を阻んでいると言わざるをえない。

 生活保護利用者にとって、民家やアパートなどに入居することが望ましいが、受け皿となる物件が極端に少ない。2017年、低所得者など住宅確保要配慮者のための「改正住宅セーフティネット制度」がスタートしたが、住宅登録件数は全国で26,026件(2020年3月)、千葉県では59件にとどまり、実効性ある施策になっていない。

 当制度に基づき、住宅確保要配慮者居住支援法人が都道府県によって登録されているが、管轄が国交省であり、自治体では住宅課が担当となるため、低所得層を対象にした福祉的な視点を持つ法人は未だ少ない。

以上のことから、生活保護申請者を含む生活困窮者のための住宅支援策を充実させるため、以下を強く求めるものである。

  1. 生活保護法第19条、及び2009年3月18日付厚労省通知を全国の福祉事務所に改めて周知させ、住居の無い者の生活保護申請を拒否することのないよう徹底させること。
  2. 改正住宅セーフティネット制度における住宅確保要配慮者居住支援法人に関しては、生活保護利用者等生活困窮者の民間住宅転入を支援・促進する法人を増やすよう、助成制度を設けること。

以上地方自治法第99条により提出する。

内閣総理大臣
厚生労働大臣 宛て

2020年  月  日
議会議長