発議案第11号 PCR検査に関し、無料で「いつでも、誰でも、何度でも」受けられる体制を構築し、併せて社会的検査の普及を強く求める意見書
新型コロナウイルスの第2波は7月末をピークに、現在、新規感染者数は緩やかに減少している。しかし、重症者数は増えており、秋には第3波が到来すると予想され、PCR検査の拡充を急ぐ必要がある。
日本ではPCR検査は感染症法に基づく「行政検査」として、これまで感染者が出ると行動範囲を追跡し、濃厚接触者だけに実施していた。しかし、感染経路が不明の患者が多発しているため、8月18日付厚労省通知では「感染者が多数発生している地域やクラスターが発生している地域においては、医療施設、高齢者施設等に勤務する者や新規入院・新規入所者等については、当該施設で感染者がいない場合であっても、行政検査の対象としてもよい」と変更された。
これは感染リスクが高い医療従事者や、重症化しやすい高齢者を守るという点で、評価すべき改善であるが、個人だけを対象とするのではなく、施設全体の一斉検査へと拡大する必要がある。東京都世田谷区では、9月中旬から、区内の介護施設や保育園・幼稚園の職員等約23,000人、さらに特別養護老人ホームなどの入所予定者を対象に無料でPCR検査を実施する。この世田谷区の取り組みは、本来は国が責任を持って実施すべき事業である。さらに、ニューヨーク州の成功例に倣い、「いつでも、誰でも、何度でも」PCR検査を受けられる体制を構築するべきである。このような「社会的検査」の確立は、安心して経済活動を進める上で不可欠である。
以上のことから、以下の4点を強く求める。
1 医療施設、介護施設、学校、保育園、幼稚園の職員や入所者、児童生徒園児を対象に、一斉PCR検査を無料で実施すること。
2 PCR検査については保健所ルート以外の民間検査を拡充し、無料で、いつでも、誰でも、何度でも検査を受けられる体制を構築すること。
3 全自動PCR検査装置の全国配備については国費負担でさらに進め、既存の大学や医療機関の機器や陰圧室など社会資源を総動員して検査環境の整備に努めること。
4 検査数を拡大するために「プール方式」による検査を普及させること。
以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。
令和2年9月14日 佐倉市議会
内閣総理大臣
厚生労働大臣 宛
発議案第12号 六ヶ所再処理工場の稼働中止と核燃料サイクル政策の破棄を求める意見書
8月21日、「原子力規制委員会」が「新規制基準適合」を正式に認めた六ヶ所再処理工場について、日本原電は完工時期を1年延期し、2022年度上期に見直す旨表明した。当再処理工場の「完工延期」は実に25回に及んでいる。さらに日本原電は、2022年度上期完工予定だったMOX(プルトニウム・ウラン混合酸化物)燃料工場についても、「再処理が遅れたということはMOX燃料加工の方も遅れが出てくる可能性が出てきた。工程をもう一度精査する」と、延期が濃厚となってきた。
この時点で、日本の原子力政策の根幹とされてきた「核燃料サイクル」は崩れ去ったと言える。軽水炉原発からの使用済み核燃料を「再処理」し、生成されたプルトニウムを「高速増殖炉」に用いてプルトニウムを「増殖」する基本路線は、「もんじゅ」廃炉によって既に消滅した。プルトニウムを軽水炉で使用する「プルサーマル」計画も、そもそも軽水炉の運用そのものが福島第一原発の大事故によって破綻している。上記のとおり「MOX燃料」の国内生産すらいまだおぼつかない状態である。
現時点でも、六ヶ所再処理工場の建設費は2兆9千億円と当初の予定の4倍以上に膨らんでおり、今後も増額し続ける可能性が高い。また、核兵器の原料であるプルトニウムを日本はすでに50トン近く保有しており、予定通りの年間800トンの使用済み核燃料の処理を行うならば、2018年の「日米原子力協定」延長の際に示した「プルトニウム削減計画」とは整合性がとれなくなる。
以上、六ヶ所再処理工場の完成と運用は、環境への放射性物質の拡散、重大事故の危険性はもとより、日本のエネルギー政策、安全保障、財政にとって何一つ寄与するものとは考えられない。
政府においては、完全に破綻している「核燃料サイクル政策」を破棄し、原子力エネルギーからの完全撤退と真に持続可能なエネルギー政策への転換を強く求めるものである。
以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。
令和2年9月14日 佐倉市議会
内閣総理大臣
経済産業大臣 宛
発議案第13号 HPVワクチンリーフレット改定案の撤回と副反応被害者救済を求める意見書
厚労省は本年7月17日、HVPワクチンに関するリーフレットの改定案(以下「リーフレット案」)を厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会副反応検討部会及び薬事・食品衛生審議会薬事分科会医薬品等安全対策部会安全対策調査会の合同会議に(以下「合同会議」)に提示した。
厚生労働省は、リーフレット案を情報提供と称して個別に配布することを予定しているが、これは、HPVワクチン接種の積極的勧奨の一時中止とともに都道府県知事に対して発せられた、平成25年6月14日の健康局長通知において、「周知方法については、個別通知を求めるものではない」としていたことに反するといえる。
さらに、リーフレット案の問題点として、以下5点上げる。
1.リスクを適切に伝えていない。
- (1)多様な症状のごく一部しか記載されていない。このHPVワクチン副反応症状としては次のような多様な症状が一人の人に重層的に現れるのが特徴である。
- 1. 不随意運動、脱力、歩行失調などの運動に関する障害
- 2.激しい頭痛、関節痛、筋肉痛、腹痛、全身疼痛、視覚障害、光過敏・音過敏・嗅覚過敏などの感覚障害
- 3. 発熱、月経障害、過呼吸、睡眠障害、むずむず脚症候群、立ち眩み、めまい、体温調節困難、手汗などの発汗過多、手足の冷感、吐き気・嘔吐、下痢、便秘、排尿障害などの自律神経や内分泌に関する障害
- 4.学習障害、記憶障害、見当識障害、相貌認知障害、著しい倦怠感・疲労感、不安感などの認知機能や感情・精神機能に関する障害
- 多くの被害者は、副反応であると気づかず原因も治療法も分からないまま、数多くの医療機関を受診する結果となっている。
- (2)他のワクチンと比較した危険性が記載されていない。重篤副反応報告頻度は他の定期接種ワクチンの平均と比較して約8倍である。
- (3)治癒が期待できる治療方法がないことを記載されていない。
- (4)救済制度について過度の期待を抱かせる内容となっているが、救済制度の認定を受けられるケースは限定的であり、受けられても医療費(あるいはその一部)のみであり、深刻な被害に対する補償としてきわめて不十分である。
2 副反応について国民に十分な情報提供ができないという理由から、接種の積極的勧奨を一時中止しており、これまでのリーフレットでは目立つように明記されてきたが、リーフレット案では削除されている。
3 子宮頸がんを予防する効果が証明されていないことが記載されていない。医療従事者向けのリーフレット案には書かれているが、本人及び保護者向けのリーフレット案には記載されていないばかりか「子宮頸がんの原因の約50~70%を防ぎます」と記載されており、子宮頸がんを予防する効果が証明されていないことを記載していないことと相まって、誤った情報を伝える結果となっている。
4 HPV感染と子宮頸がんの関係を適切に伝えず、不安をあおっている。感染してもほとんどが自然に消え、感染者のうちがんに進展するのはごく一部だけである。HPV感染と子宮頸がんの関係を適切に伝えず、「女性の多くが一生に一度は感染する」ことを強調して、ことさら不安を煽っている。子宮頸がんは、検診によって早期発見・早期治療すれば予後のよいがんであるが、その基本的な情報も記載されていない。
2011年から接種が始まったHPVワクチンの副反応件数は厚労省に報告されているだけでも3000件以上に上る。現在も接種キャンペーンにより新たな被害者が増えているが、今後、大々的に個別送付されたリーフレットにより接種者が増えれば、再び重篤な副反応被害者が増加することが懸念される。
よって、国に対し、以下の事項を強く求める。
- 問題の多い検討中のHPVワクチンリーフレット案の撤回と、正しくワクチンのメリットデメリットを記載したリーフレットを作成すること。
- HPVワクチンリーフレットの個別送付は行わないこと。
- HPVワクチン副反応被害者救済を速やかに行うこと。
- HPVワクチン副反応の治療方法を早期に確立すること。
- HPVワクチンを定期接種から任意接種に変更すること。
以上、地方自治法第99条の規定のより意見書を提出する。
令和2年9月14日 佐倉市議会
内閣総理大臣
厚生労働大臣 宛