5月31日、内閣府経済財政諮問会議より、2022年の経済財政運営と改革の基本方針(骨太方針)の原案が示された。本原案で特徴的なのは、第3章として「安全保障」に特化した内容が盛り込まれていることである。
その中で、ウクライナ情勢の緊迫化を主な理由として、「防衛力を抜本的に強化する」旨明記がなされ、NATO諸国が国防予算をGDP比2%以上を目指していることに触れている。これは自民党安全保障調査会の本年度「提言」をそのままなぞるものであり、具体的には「反撃能力などの新たな能力の保有」「AI、無人機、量子技術等の先端技術、サイバー、宇宙等の新領域分野に関する取組や研究開発費の増額」を「5年以内に」達成することを意味する。そうなれば、今後毎年11兆円もの防衛費が必要となるが、そのための財源について、本原案も、翌日6月1日の岸田首相の国会答弁も明確に示していない。
にもかかわらず、これに先立つ日米首脳会談において、岸田首相は「日本の防衛力を抜本的に強化し、その裏付けとなる防衛費の相当な増額を確保する決意」を表明し、バイデン大統領からの「強い支持」を得たとされる。主権者・納税者の意思をないがしろにした暴言にほかならない。
さらに、「反撃能力」と名称を変えた「敵基地攻撃能力」保有は、明らかに「先制攻撃」を意味し、かねてよりそのための予算が確保されてきたのは周知の事実である。政府は、こうした東アジアの安全保障環境を不安定にする軍拡路線について、何よりも日本国憲法前文並びに第9条の崇高な「平和主義」の理念との整合性を、明確に主権者に説明する責任を果たすべきである。
多くの自衛隊基地、オスプレイ暫定配備先を抱える本県として、最高法規との整合性を著しく欠き、財源的にも確実な担保を有しない現政権の軍事力強化路線の撤回、そして日本国憲法の理念に基づく外交と対話による着実な安全保障政策の立案と遂行を、ここに強く求めるものである。
以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。
令和4年6月27日
佐倉市議会
衆議院議長
参議院議長
内閣総理大臣
防衛大臣外務大臣
宛