10月13日、河野太郎デジタル相が「現行の健康保険証を2024年秋に廃止し、マイナンバーカードと一体化したマイナ保険証に切り替える」と宣言した。国民皆保険制度を導入している日本では、健康保険証をマイナ保険証に切り替えることは、全国民にカードの取得を「強制」することを意味する。カードの取得は法的には任意であるにも関わらず、命と健康を守るには欠かせない保険証を盾に取り、強権的にカードを取得させるに等しい。
この背景には、マイナンバーカードの普及が進まない現状がある。現在、2兆円以上を注ぎ込み、最大2万円分のポイントを付与するマイナポイント事業で国民をカード取得に誘導しているが、11月末に申請率がようやく60%を超えるも、交付率は53%にとどまっている。
医療機関にとっては、顔認証付きのカードリーダーを導入しなければならず、維持費を含め継続的にコストがかかり、業務負担面での懸念も強く、システム導入率は11月20日時点で35.7%にとどまっている。システムの不具合も既に導入医療機関の4割で発生しており、現場の医療機関では対処できない事態が多発している。
利用者にとっても、マイナポータル等に4ケタのパスワードを設定して登録しなければならず、また受診のたびに窓口のカードリーダーで顔認証チェックなどの操作を自分で行わなければならない等、高齢者にとってハードルが極めて高い。加えて、マイナ保険証になった場合、常に持ち歩くことでカード紛失の危険性が高まる。
最大の問題点は、マイナ保険証に切り替わることで個人の医療情報が集約され、製薬会社や保険業界など民間企業に利活用されることである。顔認証の普及で監視社会が一気に強化されることも危惧される。
以上のことから、「マイナ保険証」義務化は即刻撤回し、従来の健康保険証の利用を継続することを強く求めるものである。
以上、地方自治法第99条に基づき提出する。
令和4年12月19日
千葉県議会
内閣総理大臣
厚生労働大臣 宛
デジタル大臣