香料入り洗剤・柔軟剤などの身近な生活用品から発せられる人工化学物質により、頭痛、吐き気、倦怠感、呼吸困難などの症状が引き起こされるケースが増加し、社会問題となっている。最近では抗菌消臭成分を配合した製品による香害も増え、全国で患者数が100万人以上とされる化学物質過敏症の発症の契機と指摘されている。とりわけ、成長過程にある子どもたちにとって、化学物質への暴露は将来的な健康リスクの要因となるため、学校や保育所等の環境における予防的対応が極めて重要となる。
2024年度に日本臨床環境医学会・環境過敏症分科会及び室内環境学会・環境過敏症分科会が、全国約1万人の未就学児や児童生徒を対象に行った「子どもの『香害』および環境過敏症状に関する実態調査」の結果、香害による体調不良を起こしたことがある子どもの割合は未就学児約2%、小学校低学年約7%、高学年約11%、中学生約13%と年代が上がるにしたがって増える傾向にあり、約2%は香害のために不登校傾向にあることが判明した。
教育・保育機関には、全ての子どもたちの心身の健康を守り、「学ぶ権利」を保障する責任がある。「新しいシックスクール問題」と言える香害による健康障害から子どもたちを守るため、学校や保育所等を無香料な空間に整えていくことは重要である。
よって本議会は、子どもたちの健康を守るため、国に対し下記の事項に取り組むよう要望する。
記
- 化学物質過敏症(香害を含む)に関する全国的な実態調査を実施し、教育・保育現場等における影響の把握と、科学的データに基づく施策の基盤整備を行うこと。
- 学校や保育所等での香り製品仕様に関するガイドラインを策定し、香料・抗菌消臭成分入り洗剤・柔軟剤、香料製品の使用を控える指導を明文化すること。
- 教職員・保育士・保護者・児童生徒への教育・啓発活動を行い、香害の健康影響に関する理解を促進すること。
- 「学校環境衛生基準」、「保健調査票」及び「合理的配慮調査票」に香害対応項目を追加すること。
以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。
令和7年9月24日
佐倉市議会
内閣総理大臣
文部科学大臣
こども政策担当大臣 宛