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2019年6月定例会 意見書

八ッ場ダムの試験湛水を始める前に、地すべり対策等万全な安全対策を講じることを求める意見書

 67年も前に計画され、不要不急の大型公共事業と指摘されながら国土交通省が工事を推し進めてきた八ッ場ダムは、ダム本体のコンクリート打設が完了し、今年10月には試験湛水が開始される。八ッ場ダム予定地は、浅間山の噴火による火山灰や岩屑(がんせつ)が流れ出て堆積した脆弱な地層であり、古来から地すべりが多発してきた。このような場所にダムを造ること自体が危険極まりない。

しかるに、水没地域の住民のための住宅や施設は、ダム貯水池を取り囲むように30メートルの高さに盛り土造成された代替地にあることから、湛水前に、地すべり防止のため万全の安全対策を講じなければならない。

 しかし、国交省によるこれまでの地質調査と地すべり対策工事では、到底安全性は確保できないと、千葉大学名誉教授の伊藤谷生氏ら複数の専門家が指摘している。

 2011年の八ッ場ダムの検証で、10カ所の地すべり危険箇所と5カ所の代替地で約150億円をかけて対策工事を行う方針が示された。ところがその後、経費節減のため、対策箇所が次第に減らされ、地すべり危険箇所は5か所に、代替地は3か所に縮小された。対策工法も、代替地は鋼管杭工法から安価なソイルセメントを使った押さえ盛土工法に変えられた。国交省は変更後の対策工事費の公表を避けているが、大幅な経費削減であったことは確実である。

吾妻川は中和対策がされているものの弱酸性であり、また、ダム貯水池周辺に分布する熱水変質層から酸性地下水が浸出することも考えると、酸性水により,セメント成分が溶け出して,押さえ盛り土に使ったソイルセメントが劣化する危険性が大きい。

 このままでは、ダムに湛水した場合、酸性水の影響や水位の変動で地すべりが起きる可能性が高く、地震が起きれば脆弱な地盤はひとたまりもない。

国においては住民の命と財産を守るため、試験湛水を行う前に、万全なる地すべり防止対策を講じることを強く求める。

以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

2019年7月10日

佐倉市議会
内閣総理大臣
国土交通大臣  宛
衆議院議長
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陸自導入のオスプレイの木更津基地への「暫定配備」撤回を求める意見書

5月24日、岩屋毅防衛大臣は、陸上自衛隊が導入するティルト・ローター機「MV-22 オスプレイ」17機すべてを陸自木更津基地に「暫定配備」すると表明した。

同日に行われた木更津市への説明においては、あくまでも「暫定」であって、木更津市からの「了承」が得られて初めて「決定」となるとのことである。しかし実際に17機分の購入費3600億円は支払い済み、すでに5機は納入され米国内での飛行訓練を行っているところであり、2021年度末までに17機すべてが日本に輸送される計画となっている。本来の配備先である佐賀空港での受け入れ交渉が難航している中、オスプレイ部隊の新編も本年度内に予定されていることから、木更津基地への配備は既定の事実と判断せざるを得ない。

まず問題とすべきはきわめて事故率の高いオスプレイの安全性である。普天間基地所属の24機のうちすでに2機が墜落大破、死者3名を出している。残る22機のうち8機は整備不能として昨年新品に交換、同じ木更津基地内での定期点検整備に異常に時間がかかった事実は、この機種のメカニズムの複雑さ、整備の難しさを証明してあまりある。

また、固定翼モードから回転翼モードへの切り替え時の不安定さもかねてより指摘されており、固有の操縦の難しさに加え、沖縄県名護市沖での墜落事故で露呈した空中給油に関わる構造的欠陥も存在する。防衛省側も木更津暫定配備後の空中給油訓練実行そのものは否定していない。

さらに6月10日開催された公聴会においては、木更津基地周辺の「場周経路」は「固定翼」経路を使用とされた。これまでの説明との根本的矛盾を呈しており、普天間基地での運用実態からしてもあり得ないものと思われる。

政府・防衛省においては、陸自オスプレイ導入の根本的な必要性、木更津配備の軍事的合理性、安全性の確保策等について、木更津市民はもとより千葉県民、国民全体の合意がなされるよう誠意ある努力を尽くすべきであり、今回の「暫定配備」計画は速やかに白紙撤回をするよう強く求めるものである。

以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

2019年7月10日

佐倉市議会
内閣総理大臣
防衛大臣     宛
外務大臣
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福島第一原発の「汚染水」処分の真摯な議論を求める意見書

東京電力福島第1原子力発電所の大事故に伴う「汚染水」の処分問題が逼迫している。
 冷却のための水のほか、雨水や地下水に由来する「汚染水」は、現時点で113万トン、既に1000基を超えるタンクが敷地内に並んでいる。東京電力によると、今後のタンク建設計画は2020年末まで、全容量は137万トンとされ、年間5〜10万トン発生と試算される汚染水発生量からすれば、遠からず満杯状態となることは必至である。
 原子力規制委員会をはじめ、東電、政府は「希釈しての海洋放出」を想定しているが、地元漁業関係者の反対意見が強く、また昨年福島と東京で開催した公聴会においても「タンクでの長期保管」を求める意見が相次いだところである。一方、処分法を議論する経済産業省の有識者会議も半年以上開かれていない。
 漁業関係にとっては、取り除くことが困難な放射性物質「トリチウム」を高濃度に含む汚染水の海洋放出が、福島県産海産物の「風評被害」を助長するとの懸念があるのは当然である。本年4月にWTOで東北地方の水産物輸入を規制する韓国の措置が認められたことも影響を与えている。現在も23の国・地域が日本産食品の輸入規制を続けている事実にも鑑み、また、東電が想定しているトリチウム年間放出量が、事故前の10倍以上であることも照らし合わせるならば、福島県漁連ならびに国民全般の「タンクでの地上保管」の要望は尊重されるべきである。

政府と東電においては、原発大事故発生の責任を強く自覚し、議論を棚上げすることなく、「海洋放出」の結論ありきではない、将来を見越した真摯な議論・検討を望むものである。

以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

2019年7月10日

佐倉市議会
内閣総理大臣
総務大臣       宛
財務大臣
厚生労働大臣

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