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2020年6月定例会 意見書

コロナ禍による生活困窮者の住宅支援策の充実を求める意見書

新型コロナウイルス感染拡大による学校の一斉休校や営業自粛等の影響は、緊急事態宣言解除後も多分野に及び、収入減や失業・倒産が増え続けている。リーマンショック以上の景気の悪化が懸念され、野村総合研究所の調査では、失業率は戦後最悪の6.1%~6.9%に達する見込みとされている。多くの人びとが経済的に困窮し、職や住まいを失う危機にある。

 これと連動し、「特定警戒13都道府県」の主な自治体で、4月の生活保護申請件数が前年と比べて約3割増えたことが、朝日新聞の調査で分かった。今後、さらに生活困窮が深刻になり、申請件数は増大する一途と思われる。

 生活保護申請では、住居を持たない申請者に対し、「住所がなければ受け付けられない」として、ほとんどの福祉事務所がまず無料低額宿泊所を紹介している。しかし、生活保護法19条では「居住地のない要保護者であっても、申請した福祉事務所が保護を決定し、実施しなければならない」とされ、また、2009年3月18日の厚労省通知では「住居が確保されていないことを理由として保護申請を却下することはできない」と明記されている。 

さらに、無料低額宿泊所の大半は貧困ビジネスと呼ばれ、入所者の生活保護費の8割前後を徴収し、入所者の手元には2~3万円しか残らない仕組みとなっている。通常、風呂やトイレは共同で相部屋のところも多く、個室であっても薄い間仕切りだけという劣悪な住居環境が多い。本来一時的な居住の場とされているにもかかわらず、5年~10年も入所しているケースもあり、自立した社会復帰を阻んでいると言わざるをえない。

 生活保護利用者にとって、民家やアパートなどに入居することが望ましいが、受け皿となる物件が極端に少ない。2017年、低所得者など住宅確保要配慮者のための「改正住宅セーフティネット制度」がスタートしたが、住宅登録件数は全国で26,026件(2020年3月)、千葉県では59件にとどまり、実効性ある施策になっていない。

 当制度に基づき、住宅確保要配慮者居住支援法人が都道府県によって登録されているが、管轄が国交省であり、自治体では住宅課が担当となるため、低所得層を対象にした福祉的な視点を持つ法人は未だ少ない。

以上のことから、生活保護申請者を含む生活困窮者のための住宅支援策を充実させるため、以下を強く求めるものである。

  1. 生活保護法第19条、及び2009年3月18日付厚労省通知を全国の福祉事務所に改めて周知させ、住居の無い者の生活保護申請を拒否することのないよう徹底させること。
  2. 改正住宅セーフティネット制度における住宅確保要配慮者居住支援法人に関しては、生活保護利用者等生活困窮者の民間住宅転入を支援・促進する法人を増やすよう、助成制度を設けること。

以上地方自治法第99条により提出する。

内閣総理大臣
厚生労働大臣 宛て

2020年  月  日
議会議長

意見書多核種除去設備処理水の処分方針を慎重に定めることを求める意見書(案)

 東日本大震災に伴う、東京電力福島第一原子力発電所の大事故から9年余が経過した。使用済み核燃料の取り出し計画の先送りが発表されるなど、廃炉への展望が見通せない事はもとより、避難者の救済も含め未解決の問題が山積している中で、喫緊の課題の一つが「多核種除去設備(ALPS)」の処理水の取り扱いである。

 トリチウム等の放射性物質を含む処理水は、現在原発敷地内のタンクに保管されているが、2022年までには満杯になる見込みとなっている。その対処について、経済産業省内の小委員会は、検討してきた5つの処分方法のうち「水蒸気放出」と「海洋放出」が「現実的」であり、「海洋放出が確実に実施できる」と結論づけた「報告書」を2月2日に取りまとめたところである。

 これに対し、福島県漁業協同組合連合会は、「海洋放出には断固反対」「タンク等による厳重な陸上保管を求める」との趣旨の意見書を4月6日付で提出している。茨城漁連も同様の反対意志を表明、隣接する本県にも少なからぬ影響が懸念される中、本県の「令和3年度 国の施策に対する重点提案・要望(案)」において、新規項目として「多核種除去設備等の処理水の取り扱いについては(…)関係者の意見を丁寧に聞き、理解と納得が得られない中で、拙速に方針を決定しないこと」が盛り込まれている。

 政府は「トリチウム」について、「人や生物への濃縮は確認されていない」としているが、専門家からは、DNAや細胞レベルでの影響が指摘されており、安全性は確立していない。さらに、処理水中には、多種類の放射性物質が高濃度で残存しており、完全に除去はできないまま海洋放出されることになる。単なる「風評被害」のレベルを超えた問題なのである。

 福島漁連が主張する「陸上保管」は技術的に十分可能であり、しかも実績のあるものであるにもかかわらず、同小委員会で十分な検討を経たとは思えない。2018年に実施された公聴会で数多く出された、環境への放出に対する反対意見が十全に反映されたとも言いがたい。

 国においては、処理水について「関係者の理解なしにはいかなる処分を行わない」との福島漁連への回答を遵守し、拙速・杜撰な方針決定を行わないよう強く求めるものである。

  • 改めて福島県内のみならず広く「関係者」の意見を公開・公平に募ること。この「関係者」には、漁業、農業に携わる方々はもちろんのこと、観光業者、一般市民も含めること。
  • 「水蒸気放出」「海洋放出」の2択にこだわることなく、可能な限り環境中への放出を避ける案を検討し、社会的合意に基づいて的確な方針を決定すること。

以上地方自治法第99条により提出する。

内閣総理大臣
経済産業大臣 宛て

2020年  月  日
議会議長

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