昨年10月20日より、健康保険証をマイナンバーカードにひもづけた「マイナ保険証」の本格運用が始まっているが、厚生労働省は、本年5月25日の社会保障審議会において、健康保険証を原則廃止し、マイナンバーカードに統一していく方針を示した。これにより、2023年4月より、医療機関と薬局にマイナ保険証対応システム導入を義務づけることになる。
この背景にあるのは、マイナ保険証の利用の伸び悩み、さらにはマイナンバーカードそのものの利用伸び悩みである。厚生労働省によると、5月時点でマイナンバーカードを所持している人は約5,590万人余りであり、このうち健康保険証を登録した人は約854万6千人で約15%、全人口の7%程度に過ぎない。また、マイナ保険証を使うためのシステムを導入した医療機関も全体の2割程度にとどまっている。政府の強引なデジタル化(DX)推進方針のもと、2023年3月末までにほぼ全ての国民にマイナンバーカードを交付する目標が掲げられているが、今回のマイナ保険証利用の義務化は、それを後押しするためのものであることは明白である。
喧伝されるマイナ保険証のメリットに反し、「実際には使える医療機関がほとんどない」「常に持ち歩くことで、カードの紛失の危険性が高い」「医療機関の負担が重く、常時接続によるサイバー犯罪の可能性が高まる」といったデメリットもかねてより指摘されているところである。
そもそも、マイナンバーカードの普及促進は、政府によるあらゆる個人情報の一元管理にほかならない。とりわけプライバシー性の高い医療分野での活用については、格段の個人情報保護措置が講じられるべきであるが、そうしたしかるべき整備は一切なされていない。「マイナ保険証」義務化は即刻撤回すべきことを、強く求めるものである。 以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。
令和4年6月27日
佐倉市議会
内閣総理大臣
厚生労働大臣
デジタル 大臣
宛