8月31日、防衛省は2023年度予算の概算要求を決定した。過去最大の5兆5,947億円を計上したうえで金額を示さない「事項要求」の防衛力強化策を100項目規模で盛り込んだ。年末に決まる最終的な予算は国内総生産(GDP)比1%を超える6兆円台半ばが予測され、軍事費にはますます歯止めが効かない状況となる。
そもそも本体の概算要求からして積算根拠が不明であるのに、さらに金額が不明な事項要求を大幅に上乗せすることが公然と行われるなど、財政民主主義を踏みにじる暴挙である。主権者・納税者として、到底認めることはできない。
さらに、政府は防衛3文書「国家安全保障戦略」「防衛大綱」「中期防」の名称変更も含め抜本的な前倒し改訂を予定しており、しかも米国の慣例に追従し、同文書の一部秘密化を公言しているところである。岸田政権は、防衛力の大幅強化と防衛費の大幅増額を一方的にバイデン米政権に確約したため、同3文書の改訂と来年度防衛予算は密接に連動することになる。概算要求の秘密主義は、安全保障政策の秘密主義を先取りするものと予測される。
このように政策と予算の中味を秘密にしながら、「反撃能力保有」「GDP2%超」といった合理的根拠皆無の軍備拡大を一方的に進めていくことは、国民主権、平和主義という日本国憲法の根幹理念に反することは明らかである。
政府においては、2023年度概算要求を防衛相に差し戻し、積算根拠と事項要求の詳細な内訳を公表し、さらに防衛費縮小のために概算要求の抜本的な見直しを図ることを強く求める。
以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。
令和4年9月28日
佐倉市議会
内閣総理大臣
防衛大臣
外務大臣
宛