健康保険「資格確認書」の被保険者全員への交付と「マイナ保険証」制度の抜本的見直しを求める意見書

 従来の「健康保険証」の新規発行が停止されてから半年が経過した。しかしながら「マイナ保険証」の利用率は、本年4月時点で28.65%にすぎない。 その要因が医療現場での様々なトラブルであることは明白である。全国保険医団体連合会(保団連)が5月に発表した調査によると、回答のあった全国9,741医療機関のうち、9割近くが何らかのトラブルに見舞われているとのことである。

 保団連の分析によると、以前からの顔認証やシステムのトラブルもあるが、その原因の一つはマイナカードの有効期限切れである。発行・取得が低迷していたマイナカードの普及を一気に高めたのが国のマイナポイントキャンペーンであるが、それから5年目を迎えた本年は、電子証明書の有効期限を次々と迎え、さらにカードそのものの有効期限を迎える取得者も多い。本人が気づかないうちに保険証としての利用ができなくなる事態が続いていくのである。

 とりわけ医療を必要とする高齢者にとって、自治体ごとに対応が異なり、極めて煩雑な更新手続きを行うことは困難である。そのため、国は4月、来年7月まで暫定的に、「資格確認書」を後期高齢者限定で交付する旨発表した。

 国民皆保険制の原則にのっとり、誰もが公平に保険診療を受けられるのは当然の権利である。渋谷区・世田谷区は、国保加入者全員に「資格確認書」を送付すると発表した。マイナ保険証は医療を受ける権利を侵害し、地域医療の崩壊すらもたらすことは、医療現場の当事者をはじめ、多くの有識者が指摘し続けている。

 よって、佐倉市議会として、以下を国に強く求めるものである。

  1. マイナ保険証の有無にかかわらず、全ての被保険者に「資格確認書」を速やかに交付し、その有効期限も現実に即して設定すること。
  2. 個人情報保護の観点から問題が指摘されているマイナ保険証、マイナンバーカードの制度を抜本的に見直すこと。 

以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

  令和7年6月23日
  佐倉市議会

内閣総理大臣  
厚生労働大臣    
総務大臣
デジタル庁長官  宛

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