今年9月15日、日本で初めてのゲノム編集食品の販売が始まった。筑波大学発ベンチャーのサナテックシードが開発したギャバトマトである。ストレス軽減や血圧降下が期待されるアミノ酸の一種「GABA(ギャバ)」を、通常のミニトマトの4~5倍含むとされており、通常の2倍近い価格で販売されている。
ゲノム編集食品は、遺伝子組換え作物のように他の種のDNAを外部から導入するのではなく、宿主細胞の標的遺伝子を特定し、その遺伝子だけを破壊し、その場所に別の遺伝子を挿入できる技術である。日本政府はゲノム編集のマーケットが600兆円規模になることを見込み、2018年6月に、ゲノム編集を成長戦略の中心にすえることを閣議決定した。これを受けて、厚労省と消費者庁は、事業者が届け出れば安全性審査や表示も不要とし、農水省も、「みどりの食料システム戦略」において、ゲノム編集作物を農薬使用量低減の切り札として位置づけている。
しかし、ゲノム編集食品には健康被害を引き起こす危険性が指摘されている。ゲノム編集の結果、染色体破砕、染色体損傷が起きていることが科学雑誌Natureに掲載され、米国政府機関のサイトにも掲載された。染色体が損傷すればガンなどに発展する。これはゲノム編集において避けられない事象で解決は困難であり、ゲノム編集セラピー企業の株価は暴落した。また、理化学研究所の研究でも、狙い通り遺伝子を破壊したにも関わらず、想定外のタンパクが作られていたケースが報告されている。これまで想定したこともないタンパクが作られた場合、既存のアレルゲンとは異なるアレルゲンや毒物が生成される危険性が高いにもかかわらず、いまだ試験は行われていない。このような食品を一般市場に流通させることは、消費者をモルモットにした人体実験と言わざるをえない。
しかるに、サナテックシードはギャバトマトを普及させるために、苗の無償配布計画を進めており、2022年には介護福祉施設に、2023年には小学校に無償配布する予定である。安全性が確認されていない作物を子どもたちに育てさせ、抵抗感をなくして食べさせる計画としか考えられず、到底認めることはできない。
以上のことから、以下を強く求めるものである。
- ゲノム編集食品について、染色体の破砕や損傷、および想定外のタンパク生成など、危険性について厳しく精査検証し、全ての情報を消費者に開示すること。
- ゲノム編集食品であるという表示を義務付けること。
- 1の精査検証で安全性が確認できるまで、事業者に対し、介護福祉施設や小学校などへの苗の無償配布を行わせないこと。
以上地方自治法99条の規定により提出する。
令和3年12月13日
佐倉市議会
内閣総理大臣、農林水産大臣、文部科学大臣、厚生労働大臣 宛