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地方自治体情報システムの統一を拙速に行わないよう求める意見書 

本年5月12日に成立し、9月1日に施行された「地方自治体情報システム標準化法」により、全国1741市区町村の住民情報管理システムは、政府が標準規格をつくり、これに基づいた統一システムに移行させられることになった。国が用意するクラウド環境である「ガバメントクラウド」のもとに、2025年を目途に地方自治体、中央官庁、独立行政法人等の情報システムが一括管理されることになる。

来年夏に予定されている同システム標準規格仕様書作成に先立ち、米アマゾン・ウェブ・サービス(AWS)と米グーグルのグーグル・クラウド・プラットフォーム(GCP)を用いたガバメントクラウド先行事業が、本県の佐倉市も含めた8自治体で試行される運びとなった。基礎自治体の基幹業務である住基台帳、税、国保、国民年金、介護・福祉、医療等17業務を、各自治体独自のハードウェア、ソフトウェアを使用せずにクラウド上で利活用することは、一方で住民の利便性向上と地方自治体の業務効率化が謳われつつも、住民の生命と財産に関わる個人情報を扱うだけに大きな問題が懸念される。

まず、こうした巨大な情報の一括管理における、システム障害や情報漏洩などの緊急時への対策が不十分な点である。EUは2018年発効、2021年改定の「EU一般データ保護規則(GDPR)」により、個人データの分散管理の徹底と本人の個人情報に関する権利の重視に基づき、個人情報の利活用への厳しい規制が行われている。しかしわが国では、個人情報の主体的コントロール権が法に盛り込まれないまま、デジタル庁への権限集中と一括管理が行われようとしている。これはデジタル社会での「安心・安全」保障の国際的趨勢に逆行するものである。

また、わが国の個人情報保護政策は、地方自治体が国に率先して推進し、各自治体の実情に合わせて実績を積み上げてきたという経緯がある。国による強引な統一化、一括管理は自治体の権限を奪い、地方自治の力を弱めることに繋がりかねない。そして、自治体の規模、関連業者の事情等を全く考慮しない目標時期の強制は、誤操作も含む現場の混乱を引き起こす恐れがある。

政府においては、デジタル社会における「公開・透明」「公平・倫理」「安全・安心」の大原則に則り、地方自治体の情報システムの統一を拙速に進めず、各自治体の裁量権を最大限勘案・尊重することを強く要望する。

以上、地方自治法第99条に基づいて提出する。

令和3年12月13日

佐倉市議会

内閣総理大臣
デジタル庁大臣  宛
総務大臣 

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