医学部入学定員削減の方向性を見直し、医療現場、地域医療の実態に即し、医師数をOECD平均以上の水準とするよう求める意見書

厚生労働省「医療従事者の需給に関する検討会」と「医師需給分科会」は、1月12日に合同会議を開催し、「第5次中間とりまとめ」をおおむね了承した。「第5次中間とりまとめ」では、医学部入学定員の在り方や、今後の医師偏在対策の方向などが整理され、「早晩、医師過剰になる」と指摘している。

しかし、その指摘は、医師の時間外労働を過酷な設定にして導き出されたもので、極めて非人道的である。すなわち、医師の時間外労働を年間960時間以下程度にした場合には、2029年頃に約36万人で医師の需要と供給が均衡し、その後は医師過剰となるとしている。また、医師の時間外労働を一般労働者と同水準の年間720時間以下程度にした場合には、2032年頃に約36.6万人で医師の需要と供給が均衡し、その後は医師過剰となるとしている。しかし、年間720時間というのは、一般労働者の時間外労働の「上限」であり、これだけでも極めて過酷と言えるが、さらに年間960時間を想定するとは、医師の命と健康を軽視して顧みないもので、医療事故にもつながり言語道断である。

加えて、医師の需要と供給の均衡する数字を36万人としている点も、日本の1000人当たりの医師数2.5人は、OECD平均の3.6人に比してOECD中6番目に低く、日本の医師をOECD平均レベルと仮定して試算した約46万人と比較して、10万人も少ない(2018年)。 医学部入学定員についても、医師過剰を避けるために削減していくべきという方向性が示されているが、日本は人口10万人当たりの医学部卒業生は6.9人であり、OECD平均の13人の半分でしかない(2018年)。

新型コロナウイルスの感染拡大のピークのたびに医療逼迫が叫ばれ、医療現場では医師の自己犠牲的な過重労働による疲弊が問題となっている。今後、新たな感染症に加え、地震や津波などの自然災害の発生も予想され、また高齢社会がますます進展する中、医療需要が減少するどころか急伸する可能性が大きい。必要なのは医師数削減ではなく、医師不足の解消にほかならない。 以上により、国においては、以下の事項の実現を強く求めるものである。

2024年度以降の医学部入学定員削減の方向性を見直し、医療現場、地域医療の実態に即し、医師数をOECD平均以上の水準とするよう努めること。

以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

令和4年3月22日
佐倉市議会
内閣総理大臣
厚生労働大臣
文部科学大臣
宛衆議院議長参議院議長 宛

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